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新しい店舗で取り組む3つのコト。

数年間、あちこち駆けずり回って探し続けた新しい恋人は、ずっと前から近所に住んでた高嶺の花のあの子でした。

結納金も、お支度代も、これまでの自分のスケール感を遥かに超える見積です。
ご両親は、大徳寺の前で400年続く老舗のご主人です。
幸い、この地で商いをして10年以上、初めましての関係ではなかったので、「良縁だ」と喜んでくださっています。

30ページの事業計画書を携え金融機関を回り、なんとか目標の支度金を工面し、いよいよ12月の披露宴に向けて動き出しました。

新事業のポイントは3つ。
・職人の手を経た本物の商品を提供する
・手仕事の技術を集積し、後世に伝える
・お客様のハレの日を美しく演出する

この3つの経営理念をさらにダイエットさせて核心を抜き出した、

・本物の提供・技術の継承・ハレの演出

です。
これを体現するための組織であり、店舗であるべし。


【本物の提供】

工房が2階にあるということは、作ったものをすぐにお客様に提供できるということ。
お客様から要望があれば、すぐに2階から職人が直接対応することができるということ。
むしろ、お客様に職人が作っている様子を見ていただける。
この地で、人が手を動かし、目の前で出来上がっていくという事実は、どんな優秀な販売員の語りよりも説得力があるはずです。

また、日本にはまだまだ素晴らしい職人さんがたくさんいます。
そういう方々と一緒に作り上げた本物を、見て感じていただける場にもしていきます。


【技術の継承】

後継者育成という、伝統工芸の抱える最大の課題。
いつまでたっても答えが出ないのは、単純に「食えない」からです。
伝統工芸に携わりたい若い人たちってのは、案外少なくないもんで、後継者が不足しているのではありません。
単純に、食えない、食わせられないのです。

伝統工芸の製造業というのは、古くから流通がある程度決まっていました。

職人→メーカー(産地問屋)→問屋→小売→お客様

当然、職人さんに入ってくるお金は、決して多くありません。
ただ、産地問屋さんが職人さんの工賃を担保し、問屋さんが小売さんへの在庫を担保し、小売さんがお客様にたいしてしっかりと販売してきました。
需要があった頃は流通が確かに機能し、職人さんは贅沢は出来ないにしても口を糊することはできました。
しかし、右肩下がりの今の時代に、後継者を雇い入れる余裕はありません。
若い人たちも、夢や熱意だけでは食べていけず、夢が覚め、熱が冷めたときに希望が絶たれ、残るのはお互いの徒労感のみ。
「食わせられる」ようにするには、

職人→お客様
  

これです。
職人が直接届けることで、若い人たちに払う給料を確保するしかない。
もちろん、在庫のリスクや販管費の負担など、コトは単純ではないしそれらを背負う覚悟は必要です。
もう、その覚悟はできています。

15年前までなら途方も無い話でしたが、インターネットが全てを変えました。
その歴史的インフラのイノベーションの黎明期に商いを始めた自分は、奇跡的なほどにラッキーです。

後継者を育てるための仕組みとして、新たに教室事業を興します。
技術を教えるコストを収益に転換し、人材を確保します。
それらを定期雇用するのではなく、好きなときに好きな時間、好きな量を工房に通って作ってもらい、出来上がったものを出来高で買い取ることで、技術がお金になることを示します。
スピードとクオリティが上がれば時間当たりの給料も上がっていきます。
伝統工芸が、「食える」仕事になることを証明して見せます。

この仕組を、「職方」と定義しました。
職方事業は、今回の新規事業の核とも言える事業です。
最終的には、つまみ細工を地場産業にしたいのです。

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【ハレの演出】

つまみ細工を因数分解していくとその核として残るのは、「飾る」ということ。
飾ることで腹が膨れるわけでも、寒さがしのげるわけでも、生活が便利になるわけでもありません。
得られるのは、ハレです。

店舗は、非日常の場にします。
お客様は、きれいな髪飾りがほしいのではなく、きれいな自分を求めています。
その日、自分をいちばんきれいにしてくれるハレの髪飾り。
それを演出するのが、我々の仕事です。

職人及び販売員はゲストをハレの場に導くキャスト、店舗はそのステージです。ハハッ。
「飾る」ことは人間のみならず、生物の本能です。
現在の店舗は「ケ」の設えですが、新店舗は「ハレ」の場に作りこみます。

そして、ハナレ。
ここでは、体験・教室・WS・ギャラリー、そして京都のハレとケを体験していただく場にします。
いつもの日常を離れ、少しだけ特別な、非日常の中の日常を楽しんで貰える場所。
弊社にとっても、あらゆる実験の場でありたいと考えています。

あと一つ、この建物でやりたいことがあります。
非日常の日常を体験するための、単純で難しい答えとは。
それはまた、期が満ちた時に。

なぜ、どこに移転するのか、を考えたとき。

前回の記事→【店舗・工房統合移転のお知らせ】

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新店舗移転の構想は数年前からありました。
というか、おはりばことしての次の一手はなにか?という、大きな枠組ではありましたが。


・アクセスのいい、もしくは人の集まる観光地に2店舗目を出す
・次に来るであろうエリア、岡崎あたりに移転する
・現在の店舗を改装し、リニューアルする
・もっとでっかい町家に移転して、現在のおはりばこのイメージをさらに強化させる

などなど・・・


でも、店舗だけ移転すると工房と店の距離が離れてしまい、今のメリットが生かせない。
場所が移転することで、また一から集客をしなければならない。
店舗・工房共に別エリアに移転となると、人的・金銭的にとんでもない負担がかかる。
人気観光地はランニングコストがえらいことになる。

なかなか答えは出ないまま数年が経過し、そうこうしている間にも、工房は手狭になり、店舗は13年前に立ち上げた、「ほっこり町家の手作り和雑貨屋さん♪」のイメージのまま。
経営理念の一つである「お客様のハレの日を美しく演出」するにふさわしい空間からは程遠く。


そんな昨年末、店舗から歩いて2分の場所に空き物件が出ました。
敷地約70坪、鉄筋コンクリートの3階建の母屋にの裏に、築100年の町家のハナレがついた、お寿司屋さんの居抜き物件。
2軒の総延床面積は約400平米。

ここに、現在分散している店舗・工房・ネットショップを統合することにしました。
先に書いた選択肢のいずれでもない、

・現在の近隣地に、全てを統合してブラッシュアップする

という結論が、物件から逆算して導き出されました。
現在の店舗の導線上にあり、移転を知らないお客様でも確実にたどり着ける場所にあります。


工房と店舗を同じ建物にすることにより、人・物・理念・仕事を共有でき、製造から販売までを、真に一貫して中央管理することができます。
また、一から店舗をデザインできるので、今弊社が目指すブランディングを一から構築出来ます。
つまり、弊社の理念である

・職人の手を経た本物の商品を提供する
・お客様のハレの日を美しく演出する
・手仕事の技術を集積し、後世に伝える


を体現し、体験してもらうことができる場所だと確信しました。
1階を店舗に、2階を工房に、3階をネットショップ及び事務所に。
それぞれ90〜100平米、広さも申し分なし。
立地の弱さはありますが、店舗と工房が離れてしまうデメリットを考えると、全てが1箇所に集まるメリットは、今の弊社にはなににも代えがたい強みでもあります。

なによりも作りたいのは、理念を体現できる組織。
切り離された組織の一部を人が集まる場所に置くのではなく、向こうから人が集まってくる魅力を持った組織を住み慣れた場所に再構築する。
紫野の地で10年以上商いをしてきたという事実は、改めて考えると想像以上に自分の中で大きなものになっていました。


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そしてさらに・・・
築100年の町家のハナレ。
ここでは、おはりばこの遊びの部分。
実験・体験・プレゼンの場所として、新しいことを遊ぶ場所。


12年前に引っ越した時も思いましたさ、やっぱり仕事には遊びの部分が必要だって。
それについては、また改めて。

【店舗・工房統合移転のお知らせ】

このたび、おはりばこは移転することになりましたのでお知らせします。
12年間、大徳寺前の「紫野門前町」の町家で営業しておりましたが、店舗・工房・ネット事業部を1つの建物に統合するために移転することを決意しました。

移転先は、大徳寺前の「紫野下門前町」です。
そう、住所からわかるように、現在の店舗から下(南)に下がった隣の町内になります。
なぜ移転するのか?を書けばあまりにも長くなりすぎるため、詳細は改めて書くことにしますが、ある角度からひとことで言うと、「6年前に掲げた経営理念を実現するため」ということになります。
その経営理念とは、

・職人の手を経た本物の商品を提供する
・お客様のハレの日を美しく演出する
・手仕事の技術を集積し、後世に伝える


の3つです。

これらを実現するため、6年前から組織づくりに注力してきました。
家内制手工業から脱却すべく、工程ごとに専門の職人を置き、工程管理に基づいた工場制手工業へと組織化を進めてきました。
利益の殆どを、人材に注ぎ込んできました。
現在の場所に店を移転した12年前、工房を移転してきた8年前からは大きく社内の体制も状況も変化し、現在の店舗・工房では、いよいよ物理的・概念的共にキャパが足りなくなったわけです。

そこで2年ほど前から移転先を探していましたが、理想の物件が見つかりました。
これから新店舗で手がけていく新規事業はたくさんありますが、全て上記の3つの理念に基づいています。
オープンは、2016年12月予定。

やりたいこととやらなきゃならんことが頭のなかでぐるぐる動いています。
それを整理する意味も込めて、少しずつお話させてください。

あえて、今からハードルを上げておきましょう。
新店舗、めっちゃ期待しておいてください。
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髪飾りお誂え会in日本橋タカシマヤ、いよいよ今週です!

おはりばこが、日本橋タカシマヤに初登場!

今回の催事では、髪飾りをフィーチャーして、お誂え会を開催します。

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和雑貨も持っていきますが、今回は千總様の振袖コレクションが同時開催とあって、ハレの日髪飾りに力を入れていきます。
七五三、成人式、結婚式など、ハレの日に使う髪飾りをお見立ていたします。

見本となる髪飾りと生地見本から、あなたのお着物にぴったりの髪飾りをお誂え。
1ヶ月から3ヶ月かかる場合もありますが、見本と同じものでしたらすぐに工房から出荷可能なものもございます。

京都へ行くのは遠いけど、東京ならいけるよ!という皆様。
ぜひ日本橋に遊びにいらしてください!

7月28日放送のにじいろジーンに出ます!

7月28日(土)朝8時半からフジテレビ系列で放送の、「にじいろジーン」という番組で、おはりばこが出演します!
http://www.ktv.co.jp/niji/

ベッキーさんが、おはりばこでとある挑戦をしてくれました。
がっつり笑えて、ちょっぴり感動できる内容になりそうです。

ぜひ御覧ください!

プロフィール

おはりばこ店主

  • Author:おはりばこ店主
  • おはりばこ店主です。
    花嫁さんや成人式・卒業式、七五三などのハレの髪飾りやかんざしを、京都からお届けします。

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