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2008.08.13 踊る阿呆を見送る阿呆
「店長、角帯と股引貸してください」
なんだか、去年もこのせりふをこの時期に聞いた記憶がある。 そう、スタッフアサミが阿波踊りに向かう季節になりました。 当店はお盆休みも営業しており、店的には8月唯一の書き入れ時といっても過言ではないのですが、たとえ忙しくとも、彼女の阿波行きを留めることなど出来ません。出身地でも無いのに、「徳島に帰る」なんて言ってる人ですから。 一升瓶と、織の角帯と、襤褸状態になった継ぎ接ぎだらけの藍染の股引を携え、彼女は徳島に向かいました。 祭好きにとっては、祭の為に一年頑張ってこれた、というくらい生きがいになっているもので、アサミ阿波踊りでまた一年分のやる気を充電してきてくれたら店長としては何も言うことありません。 精一杯踊ってこいや。 さあ店主はお盆どうしましょ。 郡上のお誘いもちらほら来てますが、店は空けられん。 毎年のように送り火に手を合わせるか。 それだけじゃ面白くない。 よし、明日は竹を採りに行こう。 竹採ってなんかしたろ。 何したろ。 2008.07.20 祇園祭と色恋模様
京都人にとって7月のメインイベントといえば祇園祭。
今となっては、屏風祭やら鉾に掛けられた織やら自分なりの見所を持って見に行くのですが、花より団子だった若かりし中高生の頃は、世界に誇る日本三大祭の一つでさえ、「でっかい縁日」に過ぎなかったわけで。 そのでっかい縁日の訪れは、1学期の期末試験の緊張感と、夏休みが始まる解放感を同時にもたらし、浮かれ気分の若者は、祭というハレの舞台が持つ不思議な魔力を借り、梅雨明の宵の宮へとあの子を誘うわけで。 ![]() ![]() 祇園祭参加への形態は大きく分けて3つあります。 1【男女ペア】 〜浮名立ちゃ それも困るが世間の人に 知らせないのも惜しい仲〜 ティーンのくせに小生意気な、つがいで祇園祭に参加する形態。 天下公認の相惚れの仲なら、堂々と手を繋いで仲良く歩きます。友達に発見されたとしても、照れ笑いを呉れてやるだけの余裕があります。 友達以上恋人未満の仲や、どちらかが片思いの仲なら、周囲を気にしながら少しはなれて歩いたり、遠くに知った顔を発見すると、そそくさと人ごみに紛れるなど、まるで隠密の様相。 しかし、そのドキドキ感が二人の仲を近づける役目を果たすのです。 これが一番楽しい。 ![]() ![]() 2【男女グループ】 〜お名は申さぬ 一座の中に 命あげたい方がいる〜 普段から仲のいい男子と女子のグループ。 放課後のマクドナルドで一緒に試験勉強なんかしちゃうようなグループです。 体育会系、文科系できれいに分かれます。 これらグループは、普段から仲がいいので、誰かにばったり遭遇しても、なんら狼狽することはありません。 友達同士を装ってはいますが、色恋が無いとも限らない。 10年後には、この中の半数以上が元彼だったり元カノだったりすることも珍しくありません。 青春白書系ビバリーヒルズ的形態。 ![]() ![]() ![]() 3【男子(女子)のみ】 〜星の数ほど女はあれど 一人見上げる月ばかり〜 誘い損なった、誘われなかった、誘う人がいないなどのやんどころ無き理由により寄せ集まったグループ、もしくは誘われなかったり、誘えなかったりした時のために結成された保険的共済グループ。 故に、当日になって頭数の増減有。 中高六年間で、学年が上がるにつれ1の数が増え、2の数が減る傾向があるにもかかわらず、3は一定の供給があるのは不思議なところ。 彼らの主な目的は二つ。パパラッチとナンパです。 40万人の人出といわれる宵山ですが、なぜか知り合いに遭遇する確率は異常に高く、1のカップル達を見つけては冷やかし、翌朝の教室でネタにするのです。 しかし、ナンパしようとしているところを他の3グループに見つかり、逆にネタにされるのがオチだったり。 ![]() ![]() ![]() こうして、次の日の教室はワイドショーばりのうわさの坩堝と化し、終業式を経て、真偽定かならぬまま夏休みへと突入。 祇園祭に端を発した色恋の蕾は、夏休みに花開き、二学期の始業式には大量のカップルが誕生しているのです。 しかし夏休みに吹く順風に後押しされた恋は、二学期という日常の中で風向きが変ると、肌寒くなる頃には木枯らしに花を散らすのです。 いつしか「祇園祭に行ったカップルは別れる」というジンクスが出来上がりました。 〜小指切らせてまだ間もないに 手まで切れとは 情けない〜 ![]() ![]() 逆に、祇園祭ジンクスを乗り越えたカップルは、いつまでも仲良く添うておるものです。 文化祭まで持てばしめたもの。 さあ祇園祭カップル達の暑い熱い夏休みが始まりました。 今年はどんな風が吹くのでしょうか。 〜軒に吊られた わしゃ風鈴よ なるもならぬも 風次第〜 ![]() 2008.07.12 七五三日本髪用両簪
日本髪というのは、それはそれは美しいのですが、、よくよく見てみるとよくこんな複雑な髪型に行き着いたものだな、と変に感心させられます。
![]() これだけ複雑な形で美しさを表現することが出来たもんです。 この形に行き着いたのもちゃーんと理由があり、日本髪の美しさはいわば機能美なのです。 そして、やはり髪飾りをあわせてこそその美しさが際立つと思う次第で。 以前はパッチンタイプの両簪をご紹介しましたが、本日は日本髪用です。 藤の花のぶら下がりが着いたタイプと、銀ビラがついたタイプのセットで、頭の両側に挿します。 ![]() 前挿がまだ出来ていないので、変りに丸絎け小田巻コームをつけましてみました。 ちんころの代わりです。 このように両側に簪を飾ろうとする場合、日本髪以外やそれを模した髪型出なければ飾るのが難しいです。 といいますのも、簪の先の部分が固定されないからです。 ![]() 日本髪ですと、前髪を結ってある部分や、髷に差し込んで固定することが出来ます。 しかし。 アップの部分が後頭部に来る髪形では簪がしっかり止まりませんし、前髪にボリュームを持たさない髪型ですと両側の簪とのバランスが悪くなります。 やはり、前髪がポンパっててこその両簪なのです。と店主はおもうのです。 ![]() ![]() だからといってこの日記、日本髪用ではなくてパッチンのほうが便利ですよ〜という話ではない。 皆様、ぜひ日本髪を結いましょうよ、というお話なのです。 確かに、綺麗なアップスタイルやモダンな髪型も素敵です。 現代的な髪飾りも素敵なものがたくさんあります。 でもおはりばこ的にはやっぱり日本髪をお薦めしたいし、日本髪に似合う髪飾りを現在進行形で作って行きたいんです。 この鬘のような日本髪を結ってもらうのはなかなか難しいですが、最近は日本髪を基にした新しい日本髪スタイルも出来てきています。 バブルの頃に流行った「新日本髪」を想像してもらっちゃこまります。 アレはなんだかぼや〜んとしてすっきりしない髪型でしたが、最近は凛とした日本髪スタイルを提案している美容師さんがいらっしゃいますので、ぜひスタイルブックなんかを見て参考にしてみてくださいな。 そんなわけで、簪タイプは八重梅と桜のプロトタイプが完成。 ![]() フルセットのお披露目は、もうしばし待たれよ。 2008.06.23 町家のお手入れその2〜荏胡麻(えごま)油編〜
弁柄塗りが無事に終わりましたら、続きましては油引きです。
油ッ気が抜けてカスカスになった木に、艶と潤いを与え、若さを取り戻します。 基礎化粧のようなものですね。 使うのは、荏胡麻(えごま)油。 ![]() 乾くと表面が酸化して固まる乾性油。割とサラサラしていて塗りやすく、、匂いも懐かしい匂いです。 荏胡麻油も柿渋と同じように、ウェスに含ませて拭くように塗っていきます。 ![]() 右側のさんが油を拭いた箇所。 長年放置されてきて乾いた木は、面白いように油を吸います。 出格子のガラス戸と、玄関のガラス戸を油で吹きます。 一つずつ慎重にガラスをはずしてから、丁寧に拭いていきます。すると・・・。 【before】 ![]() 木目がアバラのように浮き出し、干からびてやせ細っていた木枠が。 【after】 ![]() なんということでしょう! 飴色の木目がふくよかに浮かび上がり、瑞々しい木枠が柱の黒をよりいっそう引き立てています。 油一つでここまで変わるのですね。 柿渋が乾いたら、上からコーティングするように荏胡麻油で塗ってやります。 黒により光沢が出来、雨をはじいてくれるのだそうですよ。 柿渋・弁柄・荏胡麻油によって、防虫・防水と同時に木に栄養を与え、着色まで出来たわけです。 しかも、体にも地球にも優しく。 ペンキやニスもいいですが、長く使うものですし、少々お値段が張っても手間がかかっても、天然塗料を使うが吉。 なんといっても、山中油店さんの楽しいこと。 油のことならなんでも、という具合で、建築用油はもちろんのこと、食用油も幅広く取り揃えたらっしゃいます。 しかも、どんなことでもとても親切に教えてくださいますよ。 そうそう、柿渋とベンガラの目安について。 おはりばこの間口は二間半ですので、それを参考に。 柿渋・・・一升 紅殻・・・250g 今回は実験の意味もあり、全部混ぜてみました。 結構な量の塗料が出来ましたが、実際使ったのは三分の一程度だったと思います。 もっとも、もともと黒い塗装がしてあるものに補修的に塗っただけですので、一回塗ったのみ。 白木を塗るなら、3〜7回くらい何度も重ねて塗ってやる必要があるようです。 その場合は、使う分だけ混ぜるようにして、柿渋には水を少し足してから蓋をして保存するのがいいようです。 固まってしまいますのでね。 2008.06.20 町家のお手入れその1〜紅殻(ベンガラ)編〜
おはりばこも早いもので、紫野に移転してもう3回目の夏を数えます。
改修時に簡単に手入れをして以来、店の外装は簡単な拭き掃除以外手を入れないままで、大正元年築のこの町家も、アラが目立ってきていました。 「人の家に遊びに来た様な」というオブラートに包んだお客様の言葉の真意が、「店に見えないよ」という意味であることを薄々感じながらもスルーしてきたおはりばこですが、ここにきてようやく重い腰を上げました。 6月第三水曜日のお休みの日に、一気に店らしくするべくスタッフ達に休日出勤を命じ、外装の手入れに取り掛かりました。 ![]() 本当は桜が咲くまでに綺麗にしようと冬の終わりに山中油店さんで買ってきた黒い弁柄。 酸化鉄、つまり鉄錆びが原料の顔料です。 弁柄といえば、茶褐色がメジャーですが、おはりばこの格子は元々黒いので黒いベンガラをゲット。 「着色力・隠蔽力が大きく、耐熱性・耐水性・耐光性・耐酸性・耐アルカリ性のいずれにも優れており、安価な上無毒で人体にも安全なため非常に用途は多い。」(wikipedia) ベンガラを着色させるのに、柿渋を使います。 柿渋は防虫・防腐に優れ、太陽によってタンニンが発色し、独特の色になります。 とての臭いですが、最近は匂いのない柿渋も売られているようですね。 こちらも山中さんでゲット。 ![]() ちなみに奥にいるのは業者さんじゃありません。 うちのスタッフアサミです。 今回は、柿渋一升にベンガラ250gを混ぜました。 顔料なので溶けるわけではありません。よ〜く攪拌してやります。 ![]() それを刷毛で塗ってはダスターで拭き伸ばしてやります。 拭き漆みたいな感じですね。 ![]() 細かいところは歯ブラシを使い、丁寧に。 ペンキですと木に膜を作ってしまうため、木がダメになってしまいますし、白々しい光沢が出てしまい、ゴテゴテしてしまいます。 オイルステインは木に良く馴染みますが、塗料自体の質感が弱く、のっぺりとした印象。 しかも、どちらも化学物質が多く含まれています。 柿渋+ベンガラですと、木に良く馴染む上に、柿渋が程よくぽってりとした質感を持っていますので、木目の表情を豊かにしてくれます。 油が抜けてカスカスになった木も、生き生きと蘇ります。 そしてどちらも天然素材なので安心! では塗りあがりを比べてみましょう。 【before】 ![]() 油も抜け、塗料も剥げてみすぼらしい姿になっていた格子も、ベンガラを塗ってやると・・・。 【after】 ![]() なんということでしょう! 優しい炭色になり、木目が力強く綺麗に出ています。 見た目だけでなく、防虫・防腐も施されたわけです。なんと素晴らしき天然塗料。まさに劇的。 店の前で弁柄を塗っていると、通りすがりのご近所さんが興味津々に眺めていきます。 「シブ塗ってんのか?」 「紅殻やな」 「今度うちも弁柄塗りなおそうと思てたんです。見せてください」 などなど、さすが皆さん昔から町家暮らしだけあって、誰も「ペンキ」なんてことは言ってきません。 ご近所さんに色々教えてもらいながら、無事に完了。 さあお昼はなんにしようか!とスタッフ二人に振ってみると、「店長の奢りでお寿司!」なんてこの二人まったく遠慮というものが無い。 ![]() まあ年頃の別嬪さんに作業着着せて肉体労働させてる身ですから、しっかたねぇなあ。と握り三人前を注文。 ちなみに左が新人のサトミちゃんです。 ![]() 肉体労働の後に外でつまむ寿司ってのは旨いね。 ビールを飲みたいのを我慢して、午後からに備えます。 お昼も頼むよー。 |
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