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2007.10.25 自由in the束縛
最近のお江戸通いで、すっかり江戸小間物の魅力に取り付かれております。
京の粋と言えば、雅・はんなり・侘びと寂び。 政の中心が江戸に移ってからも、天下の大儀があらせられた京の都は、お公家文化の雅を中心とし、女性は物腰の柔らかい敢えてはっきりさせないはんなりを旨とし、男性は茶の湯の心「詫び・寂び」という無駄なものを省き研ぎ澄まされたストイックな精神を尊んで来ました(筆者の独断につき、鵜呑みにしないように)。 翻って江戸の粋、こちらは分かりやすい。 江戸時代の天下泰平、余裕の出来始めた町人を中心にして花開いた文化は、贅沢禁止の中で知恵を絞り、本来野暮であった紬に粋を見出し、竹を割ったような気風の良い、暮らしに根ざした粋が興りました(同上)。 どちらが優れた文化か、なんて議論は不毛の骨頂、だけんどもまだまだ若輩者の店主にとっては、渋色の無地で京の粋を目指したところで、茶の湯のちゃの字も知らんわけで、「これが京風なんですよ」なんて知ったかぶりの頭でっかちになるのがオチ。 京都人から田舎者扱いされようが、京都人の京都知らずとののしられようが、自分の好みで選んだものであればそれが江戸好みのものであっても、現状の自分を表してるんだから本望な訳でございまして。 まあいつかきちんと自分が理解するときが来れば、自然と京の粋も手に入れられるってもんでしょう。 そんな店主の最近のお好みは、浅草で手に入れた臙脂色の綿縮緬の兵児帯や、派手色の縞の足袋、台と鼻緒を選んで誂えた塗りの下駄、大正更紗などの喧しい柄物。 ![]() 基本的に着物には、いろんな制約やお決まり事がありますが、制約の中でいかに自由に楽しめるかというのも着物の魅力であり、TPOさえ弁えれば、その制約の解釈ですら自由。 毎月25日の天神さんは、その制約のキャパシティを広げてくれる楽しい場所です。 今日は奇しくも木曜日。 帰る時間を気にせずゆっくり出来る貴重な25日でした。 制約と自由を自在に操る着物人たちと戯れ、意外なアイテムを合わせてみてアリだナシだと議論したり、たまには贅沢に上うな重大盛なんぞをつついたり、面白柄の昔着物に先人の自由な発送を垣間見たりと、ああ刺激的な一日。 ![]() さあ秋になって、着物が楽しく気持ち良い季節になりました。 「着方が分からん」なんて言ってないで、基本を押さえたら四の五の言わず無理繰り着てみてあとは外に出てみましょうよ。 選び方がわからんって? 着物や小物をじっくり見てりゃ、そこにはいつの間にか自分の姿が浮かんでくるもんで。 誰だって最初は初心者だったし、誰もがおんなじ方向に向かうわけじゃあない。だからこそ、着物を着るのは楽しいし、人の着姿を見るのも楽しいのです。 考えるな、感じるんだ、とはいいますが、考え抜け、そしてただ感じろ、というやりかたも悪くはない。 そんな今日の日記ですが、結局は楽しいから着てるんですよ、店主としては。 2007.10.20 関東出張10日間自由形
関東に行ってる間に、大徳寺の宵の鐘は30分早くなり、すっかり季節が変わってしまっておりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。 長いようで短い10日間、いろんな人と出会い、いろんな人としゃべり、毎日が楽しくて仕方がありませんでした。 というわけで、今回の日記は、出張で出会ったお店をご紹介。 まずは今回の京都展でご一緒させていただいたすばらしいお店の中から、店主が実際に買い物したり利用したお店をご紹介します。 リスペクトを込めつつ、敬称略! ●京念珠「ぜにや」 思えば印籠型携帯ケースの緒締めにする菩提樹を求めたときからのご縁です。京都中探し回ってやっとみつけたクオリティと価格。 普段使いのブレスレットから一生物のお宝まで、お洒落なほんまもんを提供なさってます。 店主は骸骨ブレスレットを購入。 ●山田松香木店 パルコの催事でもご一緒させていただいております。 京都の香木店の中でも、老舗中の老舗。 縮緬雑貨のお香も作ってらっしゃいますが、こちらもすごいクオリティ。 普段使いから超高級伽羅まで、幅広くご用意。 店主は、誰が袖(たがそで)にする香袋と、沈香スティック香、花京香をゲット。 ●大徳寺さいき家 超ご近所さんの仕出し屋さん。 お昼ごはんに、鰻出し巻弁当を頂きました。 ごまかしの効かない素材を、しっかりと調理。 京都の、ちょっと贅沢なおばんざいを昔ながらの味で作ってらっしゃいます。 ●下鴨茶寮 京都じゃ知らない人は居ない、老舗の料亭。通称「しもちゃ」。 おはりばことブースが向かい合わせでした。 松茸弁当を頂きました。 言うまでもなく、うまい。 ●京銘菓「阿闍梨餅」 シンプルな材料で、なんでこんなに美味しいの? 京都人なら誰でも好きなおもたせ、阿闍梨餅。 1商品のみ、売り切れ御免の京都商法スタイルで、毎日売り切っていました。安心・安全な和菓子です。 三時のおやつに大活躍でした。 続きましては、浦和周辺。 ●ラフレさいたま@さいたま新都心 天然温泉、スポーツジムが併設されたかなり豪華な宿泊施設。 当日午後9時以降に飛び入り予約すれば、5250円で泊まれます。 天国か地獄か。ホテルか野宿か。そんなドキドキ感が味わえます。 温泉の脱衣場からジムのプールに繋がっているので、初めての方は要注意。 知らないフリして女子更衣室に入り込まないように。 駅前徒歩7分は、明らかに嘘です。 ●ワシントンホテル浦和 フロントを通過せずに直接部屋にいけるナイスなホテル。 隣の出展者さんの部屋の床にヤドカリさせていただいていました。 ある日突然明らかに毛並みの違う荷物が1人前増えていたにもかかわらず、見てみぬ振りしてくれたワシントンさんに感謝を込めて。 ●華雫 浦和の友達に連れて行ってもらったモツ鍋屋さん。 裏メニューのチゲを注文。 一品料理も美味しいです。 とてもいい話ができた、思い出の場所です。 ●浦和駅西口近くのラーメン屋 名前忘れてしまいました。 かめ福というラーメン屋を教えてもらっていたのですが、売り切れ御免のため食べられず、ふらっとはいったとんこつラーメン店。 意外にもラーメン激戦区の様子。京都では食べられないラーメンがたくさんあります。 続きまして、東京です。 東京では、中・高の同級生の家に居候。 成城学園前から都心に通う毎日でした。 ●かんざし屋@下北沢 当方簪屋のため、商売敵ではありますが、楽しかったのでご紹介。 いろんな素材、デザインでかんざしを作ってらっしゃいます。 東京らしいなぁ、と思いながら、京都らしいねぇと言われていた自分の商品を思い出したり。 かすう工房というアクセサリー屋さんと併設です。 スタッフの土産に鈴簪を購入。 ●泥棒日記@下北沢 最近京都にもお店が出来た模様。 和の素材、文様テキスタイルを用いた洋服がたくさんあります。 割と、オトコマエ系が多いかも。 更紗柄のロンTゲット。更紗の着物の下に着ます。 ●ミケネコ舎@下北沢 建物からしてタマラン。 コーヒー、もとい珈琲は、びっくりするほど薫り高く。 センスもさることながら、質でも本気で勝負している純喫茶です。 お土産に、秋のブレンド豆を購入。 ●mois cafe@下北沢 下北沢南口近く、見た目は古い下宿アパート。 中に入ってほっこり空間の、隠れ家カフェです。 アートギャラリーにもなっている模様。 東京に住んでたら、間違いなく通ってます。 ●アンゼリカ@下北沢 味噌を練りこんだパン、そのまんま「味噌パン」が名物。 カレーパンも旨し。 翌朝の朝飯にする予定が、夜食になりました。 ●丹波亭@西新宿 東京に住まう同級生たちに集合をかけ、ミニ同窓会をしたのがこちら。 京都出身のご主人が経営するお店だそうで、同級生の行きつけです。 平日にもかかわらず集まってくれたみんなに感謝。 九条葱を使った葱焼きがオススメ。 ●伊勢半@南青山骨董通 日本で唯一となった紅屋さん。 紅花から抽出した、玉虫色に輝く紅を今でも作ってらっしゃいます。 ギャラリースペースでは、江戸時代の装芸品を展示。 小袖の見本帳や、叺、筥迫など、逸品を公開していました。 目の保養、目の保養。 ●sou・sou@青山 いわずと知れた京都の地下足袋屋さん、sou・souの青山店。 手描きの地下足袋のオーダーを受けてらっしゃいました。(期間限定?) 親切に道案内をしてくださった別嬪さんの店員さんたちに、京都からありがとう。 ●東京135°@原宿 我らが京都「ichi・man・ben」さんの姉妹店、ポップで粋な着こなしを提案する着物屋さん。 原宿の中にあって、違和感がないのはさすがです。 ここでもchokoちゃんはカリスマらしい。 木綿の大正更紗を破格値で掘り出しました!市場価格の半値以下・・・。 みんな、行くべし。 ●アップルツリー@原宿 ふんわり卵のオムライス屋さん。 食事はオムライスのみで勝負!ハヤシライスのオムライスを頂きました。 ●ハゲ天@東京駅 東京最後の晩餐は、ちょっと贅沢にカウンターからてんぷらを注文。 粋な口調の料理人にあれやこれや聞きながら揚げて貰う天ぷらは旨いね。 ちなみに店名の由来は、初代のハゲ頭から。 格を重んじる京都ではあり得ない、江戸っ子らしい洒落た良い屋号です。 ご覧の通り、仕事に行ったとは大きな声でいえないほどの巡遊ぶりです。 出張ったって旅にしようと思えば出来るもんだね。 これも、現地で遊んでくれた東京の友達のおかげ。 みんな、また京都に遊びにおいでや。 京都に帰って休み明け、なぜかフミちゃんが東京名物ひよこサブレを持参してきていました。 聞いてみると、なんと水・木の連休を利用して東京に滞在していたっていうじゃありませんか。 連絡くらい寄越してもいいじゃない。 「東京に来てまで、私の顔なんか見たくないでしょ」 よう言うたもんや。 これを、京都ではイケズと言うわけで。 2007.10.14 浦和より愛を込めて
気がつけば早いもので、催事もあと1日を残すところとなりました。
皆様お元気でしょうか? 毎日毎日、本当にたっくさんのお客様にお越しくださり、予想以上の反響にびっくりしております。 特に、普段インターネットでお付き合いいただいている大事なお客さま方が、毎日何人も足を運んでくださり、名前は存じ上げていても初めてお目にかかる方と、直接お話できたことが、何よりの収穫です。 普段は座って仕事をしている所為か、立ち仕事は大変堪えますが、お客様とのふれあいがあるから、ずっと楽しく仕事をさせてもらっています。 皆様のおかげで、この催事も実りあるものになりそうです。 東京から、千葉から、群馬から、そして京都から、たくさんのお客様がわざわざおはりばこの催事のためにお越しくださり、楽しんで帰ってくださっています。 正直、催事のために商品を用意したり、店を留守にして出かけたりするのは、今のおはりばこの状況からいうと少々無理をしたところがあります。 でも、皆様の笑顔を見ていると、そんなことも吹っ飛びました。 これも、応援してくださるお客様はもちろんのこと、お世話になっている伊勢丹の皆様、そして留守を守ってくれているおはりばこの2人のスタッフ達など、いろいろな方々のお力の上に成り立っているものです。 ネットを通してではなかなか見えない皆様の愛を、この浦和の地で、ひしひしと感じております。 この場をお借りして、心より感謝申し上げます。 今回の催事でも、たくさんのお客様、出展者様との素敵な出会いがありました。 そして、たくさんの友との再会もありました。 おかげさまで仕事としての成果はもちろんありましたが、それ以上に、お金では買えないもの、お金には換えられないものを得ることができそうです。 まだあと一日、浦和でお客様をお迎えできます。 最後まで、皆様に楽しんでいただけるよう、精一杯がんばりますので、お近くの方はぜひ店主に会いにいらしてください。 宿の方は、隣の出展者様がたまたま同級生だったため、彼の宿泊している部屋の床に居候させてもらうことができ、快適なヤドカリ生活を送っています。 お礼に彼のお店を宣伝させてください。 【東洋竹工】 http://www.toyo-bamboo.com/ さてさて、明日は最終日ですが、スケジュール手帳をはじめまだまだ商品をご用意して皆様をお待ちしております。 インターネットの更新がなかなかできずご迷惑をおかけしておりますが、もう少しだけご勘弁ください。 お世話になった浦和のお客様に、少しでも恩返しができますように。 浦和より愛を込めて。 2007.10.08 浦和周辺の皆様へ
店主にとってこの秋一番のビッグイベント、浦和伊勢丹京都展が10/10より6日間開催されます。
明日の朝京都を発ち、それから10日間は関東におりますので、しばらく店にはおりません。 お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願いします。 というわけで、関東にお住まいの皆様、ぜひおはりばこの商品を見に、そして店主に会いに来てください! 皆さんに会えるのを楽しみにしていますよー。 さあ久しぶりに80ℓバックパックの出番です。 仕事とはいえ、10日間の一人旅。 宿のアテもなく、気ままに出発いたします。 行き倒れていたら、どうか餌を呉れてやってください。 では、パッキング作業に入りますか〜 2007.10.07 淡々と東京日記その4
その3の続き・・・
東京という町は、エリアごとの色分けがはっきりしているとは聞いていたが、まさにそのとおりだった。 いわゆるオタクの人はもちろん、アジア系観光客、「コンニチワ!!」とすれ違い様に愛想を振りまく白人の女の子の一団、店頭でラップに乗せて商品を紹介する眼鏡屋さん、頭のてっぺんからもれた空気のような声でビラを配るメイドさんなど、一人着物を着て歩いている僕が場違いではないような錯覚に陥ってしまうほどカオスだった。 ドンキホーテに迷い込み、エスカレーターで階を上がっていくと、うわさのメイド喫茶が現れた。 「お帰りなさいませーご主人様ー」 帰ってきてもいないし、ご主人様でもなんでもない男性客達が、メイドさん達のテンションとは裏腹に、俯き加減でどんどんカフェに入っていく。 僕は、思い切ってエントランスをくぐり、小さな個室に案内されると、そこには小さくてかわいらしいメイドさんがちょこんと座っており、恥じらいながらも上目遣いでコーヒーを給してくれ、僕もはじめは乗り気ではなかったのだけど、次第に打ち解けるうち、店が終わってから会いませんかと言われ、その晩は彼女のワンルームに泊めてもらうことになった、というのはもちろん嘘で、あっさりと素見して下りのエスカレータに向かい、社会見学を終えた。 この旅の供にと、出発前に本棚から適当に信玄袋に詰め込んだ文庫本が、昭和初期の銀座を舞台にした、カッフェーの給仕と作家の退廃的な恋愛を描いた小説だったのだが、まさかその頃の人たちも、給仕と客の擬似恋愛が、ラジオ部品の問屋街で展開されるなんて夢にも思わなかったことだろう。 歴史なんて、どう転がるか分かったもんじゃない。 しばらくゲームセンターで時間を潰していると、ボッシーから携帯に連絡が入った。 「仕事が片付いたので、飯に行きましょうか」 僕は、待ってましたと地下鉄に乗り込み、目黒へ向かった。 目黒に到着し、ボッシーと落ち合う。 前日聞かされていた目黒の蕎麦屋は、残念ながら昼間の営業をやめてしまったらしく、僕たちは第一候補は諦めざるを得なくなってしまった。 しかし彼はすぐに第二候補を挙げ、タクシーを拾うと運転手に恵比寿と告げた。 デートで予定が狂ったとき、二の手三の手をすんなり用意できる男がどうやらモテルらしい、とどこかの何かで読んだことがある。 この男、やはりデキる。 ボッシーが連れて行ってくれたのは、落ち着いた大人の雰囲気の蕎麦屋。 一品物や酒が充実しており、アテを肴にチビチビやり、〆に蕎麦を啜るという、江戸の粋人の隠れ家のような店だった。 焼き味噌、そばがき、鮪のヅケなんかをつまみながら、しっぽりと時間を愉しんだ。 プライベートではあまり商売の話をしない僕だが、彼も事業を興しているだけあって、商売のやり方やあり方について小一時間ほど話し込んだ。 業種は違えど、立場の似ている者同士、普段は心の奥底にしまっているようなこともすんなり話し、アドバイスしあい、これまでにはない濃密な時間をすごすことが出来た。 歩んできた道はまったく違うが、同じく商売を志す同志であり、同じく着物を愛する者同士であり、刺激しあえる友でもある。 〆に、粗めに挽いた十割蕎麦を啜り、大満足で店を出た。 ボッシーと別れ、店に立つために渋谷に向かった午後6時。 この日も変わらず渋谷は人が多い。二回目とあって、まっすぐパルコに到着できた。 現地の友達、お客さん達との楽しい時間。 接客をするつもりが、逆に色々励まされ、応援され、なかなか場を離れることが出来ず、結局新幹線の終電ギリギリまで店に立っていた。 最後に駅まで見送ってくれた友達に別れを告げ、一番前の車両の一番前の席の右端に座った。 2日間歩き回り、ろくすっぽ寝ていないにもかかわらず、興奮した脳は眠ることを許してくれない。 東京は広い。 さあこれから、というときに帰らなければいけない旅ほど名残惜しいものはないが、幸いすぐに上京の機が待っている。 さて次はどんな楽しい出会いがあるかしらん、と早くも次の旅に期待しながら、僕はシートをゆっくりと倒した。 |
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