三代目っちゃあ聞こえはいいが

今更ですが、おはりばこは和布を使った簪・小間物を製造・販売するお店です。
店を立ち上げてもうすぐ5年になりますが、5年前からいきなり始まったわけではありません。

そのルーツを紐解いてみますと。

祖父が西陣は七本松で糸屋を始めたことにさかのぼります。
今でも覚えています。
ガラガラと玄関の引き戸を開けると広がる土間には正絹の生糸の匂いが充満し、クロワッサンみたく束ねられた生糸が山盛り積んでありました。
ジム机、曜日が書かれたホワイトボード、山積する糸枠、分銅で量る量り、隠し階段、掘りごたつ。
欄間にはえべっさんと大黒さん、柱にはなめ猫のシール。

あまり詳しいことは知らないのですが、帯を織るための糸を卸す商いだったそうです。

代は替わりまして、糸屋ではこの先明るくない、と、加工を始めるようになりました。
組紐のリボン、撚り房帯締めの加工、そしてこのときつまみ細工も作りはじめました。
問屋さんにではなく、直接小売さんに卸すようになります。

それから約15年。
糸問屋、加工屋、製造業と商いを変えてきたわが社は、三代目の自分が入って間もなくオリジナルの小物数種類を作り、ネットで小売をするようになります。
それがおはりばこの始まりでした。

看板に西陣の文字、そしてつまみ細工の商品を作るわが社ではありますが、いわゆる「伝統工芸士」ではありません。
「つまみ簪をつくる職人の数は、日本ではわずか数人になってしまいました」という説明をよくみかけますが、おはりばこの職人はこの「数人」にカウントされていません。
なぜなら、勝手に作り始めたから。
作り始めてまだ20年のひよっこだから。
舞妓さんや芸妓さんが使うための簪を作る職人ではないから。
つまみ細工を作る職人の数を勘定する人がおはりばこを知らないから。
そういう意味では、おはりばこの髪飾りは本物ではないのかもしれません。

お客様の数まったくの0から始まったおはりばこは、常に手探りでお客様のために商品を作り続けてきました。
どうすれば伝統的なつまみ細工のカタチを現代のライフスタイルに融合することができるか。
どうすれば他所にないものが作れるか。
どうすれば今ある技術を新しい物に変えていけるか。
どうしたらお客様に喜んでいただけるか。

先祖から預かった看板もなければ代を経た伝統もなく、誇るべき御用達もありません。
すべては、0から育てていただいた全国のお客様の為に。
うちのお客様に認めていただける、本物を作りたいと思っています。

なんだか偉そうなことを書いていますが、おはりばこはこれからも守りではなく攻めの姿勢で参りますよってこと。
まだまだやりたいこと、作りたいものが山盛りありますので。


廃れ行く伝統工芸の世界に新規参入の殴り込みをかけた頓珍漢なおはりばこではございますが、今後ともよろしくお願いします。

プロフィール

おはりばこ店主

  • Author:おはりばこ店主
  • おはりばこ店主です。
    花嫁さんや成人式・卒業式、七五三などのハレの髪飾りやかんざしを、京都からお届けします。

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