歩く花

過日、紅葉が丁度見頃を迎えた秋晴れの昼下がり。

格子の引き戸をからからと開けて敷居を跨いで入ってきたのは、事前にその時間に訪問する旨ご連絡いただいていたご一行、先斗町の町家にて兎の和雑貨専門店「うさぎのアトリエぴょんぴょこぴょん」を営むご主人と、そのお連れ様でした。
ご丁寧にお土産を携え、丁重なご挨拶をくださったそのお方は、とても30歳には見えない落ち着いた物腰の紳士で、少しはにかんだ不器用な笑顔が優しい、今では見かけなくなった正統派の男前でいらっしゃいます。
次いで敷居を跨いだのは、こちらも24歳には見えないほどしっかりとした品格を備えた、ご陽性と見受けられる美人の奥様と、ご主人が「妹」と可愛がる、先斗町の舞妓さん、市奈さんです。

割れしのぶに結った髷に赤い鹿の子の手絡とつまみ細工の櫛がよく似合う、ふっくらとした愛嬌のあるお顔立ちをした市奈さんは、店に入るなり「ひやかいらし~」と嬌声一つ。
そう、先日店主が留守の際にお越しくださったのがこのご主人と舞妓さんです。
わざわざ店主がいる時を見て、再度足を運んでくださったのです。

花街近くならいざ知らず、禅の町紫野にて商う我が店に、先斗町の花がわざわざお越しくださったことは、髪飾り屋冥利に尽きるというもの。
早速髪飾りをご覧頂くためにご案内いたしました。

摺り足で試着場の座布団に膝を落とした市奈さん、いの一に手に取ったのは、参考商品として拵えた、桃色の絽縮緬の生地の勝山と前挿。
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現代の日本女性が着けようものなら、鏡餅の上にかぼちゃを乗せたような、「髪飾り」というよりは「髪飾られ」といった方がしっくりくる、妙ちくりんな風情になるのがオチで、普段は修学旅行の女学生さん達の記念撮影の具としてのみ活躍しているこの髪飾りですが、さすがは本職の舞妓さん、器用に前挿の足を鬢の曲線に合わせて少しずつ曲げ、勝山簪とともに器用に挿し飾りました。
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この髪飾りが初めて「髪飾り」としての体を成した瞬間です。
愛くるしい大きな目のかわいらしい舞妓さんに着けてもらえ、この髪飾りもきっと喜んでいることでしょう。

その後しばしお三方と談笑し、名刺と引き換えに千社札を手に入れた店主は、凝りもせずまたもや脂下がり。

「また来ます」

先斗町へ帰るご一行を見送った後、お土産の包み紙を解くと、「お歳暮」と表書きされた箱の中から現れたのは、お香、誰が袖、そしてかわいいお皿の詰め合わせ。
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店主の部屋に女性が遊びに来ることがあれば、もしそんな折が今後あるのなら、その時に使わせていただくこにといたしましょう。
きっともう一度、嬌声が聞けることでしょう。

もちろんその時は香を焚き、袂には誰が袖を忍ばせて。



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コメント

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店主さま

そんなにほめんとってぇなぁ。読みながらてれてしまいますがな。ちょうどお休みで帰省土産をそちらでいただきたいとたのまれたもので・・・・・
また、素敵なお店に寄せていただきます。
おはりばこさんと弊店をはしごされるお客様がおおいようで、こちらもうさぎ繋がりでうれしくおもっております。
今後ともよろしゅうに

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店番店長様

いえいえ、率直な感想を申し述べたまでです。
兎つながりではしごされるとは、大変恐縮です。
また近々ふらりと寄せていただきますね。
たまには先斗町にも足を運ぶようにしてみます・・・。
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    花嫁さんや成人式・卒業式、七五三などのハレの髪飾りやかんざしを、京都からお届けします。

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