インドと着物

異文化交流なんていわれながらも、なんだかんだいってここ50年ほど、外国といえばアメリカ、日本はアメリカの文化を受け入れ、模倣してきたのは事実。
年に数本の全米No.1映画が輸入され、歌詞は良く分からんが金髪のお騒がせお姉さんの歌がめざましのテレビから流れてきたり、大きなホテルのお嬢さんのセレブっぷりがどうしただの、果てはそんな彼女らのプライベートまで話題になったり。
遠い海の向こうの国のお話は新しい物好きの人たちの耳目を集めています。
というか・・・まあいいや。

現在は海の向こうの遠く東の国、アメリカ色が濃い日本ですが、日本は昔から西の方のシルクロードを経て伝えられた文化にオリジナリティを加え、自国の文化を形成してきました。
漢字然り、衣服然り、宗教然り。
シルクロードの終着駅だからこそ、洗練された文化が作り上げられたのでしょうね。

しかし、そんなシルクロードルート以外から入ってきた中世の布があります。

それが、更紗です。

時は大航海時代、日本が鎖国というスーパーミラクルな国政を敷いていた時代に、東インド会社を介してインドより伝わった魅惑の布。
唯一の玄関口、長崎出島から日本に入ってきた布は、それまで日本人が見たこともないほど美しく、誰も考え付かなかった細やかで華やかな柄のパターンが布いっぱいに広がっていました。
テレビも写真もなかった時代、海の向こうの見たこともない国の情緒をうかがい知るに十分なその布は、瞬く間に新しい物好きの好事家を虜にし、競って買い求められたそうです。

当然着物のデザインにも取り入れられ、オリジナリティを加えられて和更紗となって「亜流の和文化」として日本人のものにしてしまいました。
もちろん着物になって。
着物といえば日本古来、独自のものというイメージですが、すべてがすべてそうなわけでもありません。
だから面白いんですが。

031302.jpg
こちらは17世紀に伝えられた、笹蔓柄の木綿の更紗。
異国情緒に溢れていますが、とても可憐で美しく、日本人の好みに通じるものがあります。

031303.jpg
時は下って大正~昭和初期の絹更紗。
拙いですが、上のデザインを完全に模しています。おはりばこによって名刺入れになっていますが、もとは着物(襦袢)の生地だったものです。

優れたデザインは、何百年経っても色あせることはありません。
それは決して、懐古趣味や古さから来る価値なんかでなはく、ただ、美しいから。
江戸時代の物好きのおっさんも、決して土を踏むことができない遠い南の王国の人々の暮らしや、文化や景色に憧れ、これら更紗を着物に取り入れておしゃれを楽しんだことでしょう。
丁度店主が学生時代にインドに憧れたのと同じように。
もしかしたら当時の保守的な人たちに白い目で見られていたかもしれないそんなおっさんたちに、妙に親近感を持ってしまうのです。

こちらは今日手に入れたインドの綿の更紗。
031301.jpg

そんなに古手のものではないでしょうが、意匠の傾向は上のものとほぼ同じ。不思議の国の柄です。
デリーの空港に降り立った時に感じる、あのスパイスの匂いが今にも漂ってきそうです。

毎日着物を着ていながら、あの不思議の国に魅了され、惹きつけられてやまないのですよ、店主は。

あー、インドに行きたい。
そんなことを思いながら、今日も和更紗の着物を着るのです、江戸時代に更紗を着ていたおっさんのように。


コメント

not subject

あ~、なんだか店主どのにはインド似合いスギです!
なんか、インドに行ったら帰ってこれなくなりそう(>▽<;)
でも、いろんな国を見て日本を再確認するってのもアリですね☆

not subject

アラシさま

店主にとってはインドは精神の聖地です。
まさにカオス。日本に無いものにあふれています。
帰ってこれなくなるかもしれませんが、いつかまた行きたいものです。
非公開コメント

プロフィール

おはりばこ店主

  • Author:おはりばこ店主
  • おはりばこ店主です。
    花嫁さんや成人式・卒業式、七五三などのハレの髪飾りやかんざしを、京都からお届けします。

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索