紫野の音

紫野という町は素敵な町です。

京都というにはちょっと田舎で、中心の華やかな文化からは縁遠く、「都のはずれ」感が漂う地域。
その代わりに大徳寺という一つの重要な文化のメッカを戴き、礼儀正しくおおらかな人たちが住む町です。
人通りはまばらで都会のような喧騒はなく、昼はおばあさんたちの井戸端会議が聞こえ、夜は梟の鳴き声が聞こえてくる紫野。

立て付けが悪くなって隙間だらけの窓から入ってくるそんな音は、都会が失った近所との横のつながりを身近に感じさせてくれます。

夕方になると聞こえてくるのが鐘の音。
陽の長さに応じて撞く時間がかわるの鐘の音は、そろそろ日が沈むのか、と教えてくれます。

「もうそんな時間か」

と、紫野の人間がみんな同時に思うこのシステム。
目ではなく耳から、それも倍音たっぷりの重低音を放り込まれ、時をシェアするってのは、精神衛生上とてもいいことだと思います。
しかもこの鐘の音、風情がある云々の前に純粋に音として気持ちがいい。
どんな好きな音でもこれが電子音だったらきっと、すぐに慣れてしまい飽きるのでしょうが、鐘の音というのは飽きないから不思議です。

音が遮断された空間ではこうは行きません。
プライバシーと引き換えに得た無音の空間より、店主はきっと安心するのでしょう。
何かと繋がってるっていうのは、とても安心できますからね。

そろそろ裏庭から虫が鳴き始める季節です。
これから冬が来るまで、いろんな虫の声が聞こえてくるかと思うと、楽しみで楽しみで。

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    花嫁さんや成人式・卒業式、七五三などのハレの髪飾りやかんざしを、京都からお届けします。

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