煙管専門店谷川清治郎商店

疾風は吹くわ、豪雨は降るわ、なのに陽は差すわの木曜日。
どうやら京を囲う三方の山々では、いたるところで狐の嫁入りラッシュに沸いているようですが、2週間ぶりの休日に町に出てきた店主にとっちゃいい迷惑。
めでたいのは分かるけど無礼講もほどほどにしときよし。

そんなけったいな天気の昼下がり、店主はある目的のため御幸町通り高辻上ルにおりました。
京都で唯一の煙管(キセル)専門店「谷川清次郎商店」に、愛用キセルのメンテナンスをお願いするためです。

さあお店に到着。
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ってこれ普通に人ん家。暖簾も出てないですが、開けてらっしゃるのか知ら?
引き戸を引いて「ごめんやす。やってますか?」
奥さんが文字通り奥からやってきて、
「はいはいやってますよ」

たくさんの羅宇(らお)竹が重ねてあり、銀煙管・延べ煙管・豆煙管・喧嘩煙管と、様々な煙管が出てくる出てくる。

「羅宇の交換をお願いしたいのですが。」

アンティーク屋さんで手に入れた明治期の喧嘩煙管、羅宇の中がヤニとカビでとても汚いため、交換をお願いしたかったのです。
別途見積もりを出してもらうことにし、住所と名前と電話番号を預けます。
羅宇の交換、雁首・吸い口の内部の掃除、及び外部の掃除。
見積もりと相談して、どこまでやるかは後から決めることにしました。

店内には映画「さくらん」のポスターが。
小道具のキセルを提供したのかな?

「それもありますけど、娘が衣装のデザインを担当したのです」

ほう、あの美しい衣装を。
婀娜っぽい色使いは、煙管屋の娘として育ってこそ培われたものだったのですね。

メンテの依頼を済ませ、いろんな煙管を見せてもらい、銀製の細工がしてある煙管に反応する店主。
すかさず奥さん曰く

「誂えもできますよ。絵を持ってきてもらえばそれを職人が彫りますので。」

何だって!
自分の好きな文様やデザインを入れた煙管を作れるってか。
そんな贅沢な道具があっていいのですか?
そんなお店がこんな身近にあったとは!そして知られてないとはもったいない。
いやはやすばらしい、すばらしいと店主もう大興奮。
煙管屋万歳!

紙巻タバコ全盛の今、こんなに需要のない商売が成り立つのか、と心配してしまいますが、よくよく考えれば京都の煙管市場を独り占め。
しかもその市場はとてもコアなお客様ばかり。
図らずもスキマ産業になってしまった煙管業界ですが、市場は小さくともいいものを作り続ければ生き残っていけるという、好例でしょう。
価格もお手ごろなものから本格的なものまであり、初心者にも敷居が低く好事家も納得できる。
店の方も気取らず、やさしく、対応は柔軟であり無理強いはしない。
呉服業界が生き残るヒントがたくさん詰まったお店でした。


さあ煙管のメンテナンス完了が今から待ち遠しいぞ。
それからどんな煙管を誂えてやろうか?

合理化された嗜好品にはない、心を豊かにする嗜好品、煙管。
風前の灯となった文化を、頑なに守り続けている谷川清次郎商店様、心よりリスペクトを送ります。

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