無双の着物に謎の縞

異常に暑くなった数日を経て、また平年どおりの快適な気候が戻ってきた今日。
そろそろ衣替せないかんなーと押入れの夏物着物を物色していたら、去年手に入れた無双の着物を発掘しました。

無双というのは、袷なんだけど夏の着物。
色・柄の違う二枚の薄手の紗を袷に仕立てたもので、下の生地は白地に模様が入っており、上の生地は濃い目の無地の紗が合わせてある場合が多いようです。
洋服で言うところのシースルー重ね着のようなものでしょうか。
紗袷(しゃあわせ)、二重紗(ふたえしゃ)とも呼ばれます。

これがまた贅沢且つ難儀な着物で、着る時期が非常に限られているのです。
衣替えのほんのひと時、初夏の一瞬の間だけ。
夏から秋にかけても着ることは可能なのでしょうが、無双はやっぱり「これから夏」という時期に着たいもの。

一年に何回も着られるものではありません。せっかくの晴れた土曜日、ちょっと早いですが無双を着てみることにしました。
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女性物ではたまに見かける無双の着物ですが、男物では余り見ません。
おそらく洒落た御仁が誂えたものでしょう。
それにしても珍しい縞の柄。
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横4本に縦6本の縞、その中に「ら」の文字。
これは一体なんぞ?

着物の文様には判じ文様というものがあります。
有名なのが、鎌と○とぬ(もしくは奴)と描かれた手ぬぐい。
これで、「かまわぬ」と読ませます。
柄自体が謎かけになっていて、しゃれて読ませる文様のことです。

ではこの縞は一体なんと読むのか。
「ら」に縞で有名なの文様といえば、「中村格子」や「市村格子」。
中村格子は、縦横三本ずつの格子にの中に、「中」と「ら」の文字が配されており、合計6本の縞を「む」と読ませ、「中むら」と判じせしめる文様です。
市村格子は、横1本に縦6本の格子の中に、「ら」という文字を配して、「いちむら」と読ませる文様。

そのパターンに横4本、縦6本に、「ら」を当てはめると・・・






そう、「しむら」と読めます。
これは「志村格子」だったのです!たぶん!
おそらく、この無双を誂えた御仁のオリジナルの文様でしょう。

「中村格子」や「市村格子」は、歌舞伎役者自ら自分たちの屋号を文様にしたもので、手ぬぐいや浴衣にその文様を染め抜き、今で言うキャンペーンやグッズ販売にしていたものです。
歌舞伎役者は当時のファッションリーダーですから、町人は贔屓の役者の文様が描かれた手拭いなどを愛用していたわけです。
現代で言うE.YAZAWAタオルみたいなものですね。

志村某さんは、大スターしか持たないそんなオリジナル文様を考案し、背中には括り雁の一つ紋と大きな括り雁を大胆に配した無双を誂えたわけです。
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志村姓でもなく括り雁紋でもない店主が着ると、魅力も面白さも四半減ですが、こんな洒落た着物があること、誂えた人がいることを伝えるためにも、これからも愛用していきます。


ちなみに今日は襦袢もお気に入り。
流水に鯉が描かれたモスの襦袢です。
画像?いやいや、下着ですのでご勘弁を。

どうしてもという方は、裾捌きにご注目を。

コメント

not subject

志村と聞けば反射的に「志村、うしろ、うしろ!」と言いたくなってしまう世代です。

河内屋格子とか紀伊国屋格子なんてものもありましたね。
二条陣屋の障子も、竪子と横子で「小川」を表していて粋でした。
昔の人たちは我々の想像を軽く超えるお洒落っぷりですよね。

それにしても涼しげな着物姿です。
さらりと着こなせる北井さんもお洒落さん!

暑いです。。。

今日のお昼間、通りからおかあさんの声が…
「暑おすな~、袷は重いしもうようきーひんわ。」
と。確かに動いている時はまだいいのですが、
止まったとたんに汗が出てきます。でも、TPOは
弁えなくてはならず大変です。最近の気温差は
困ったもので、洋服なら脱ぎ着も楽ですが着物
はそういう訳にはいかず、少しでも過ごしやすくするため
の素材の選択。昔の人のおしゃれは何とも粋ですね!

not subject

ステキですv-238
めったにお目にかかることのない紗袷
一年中でたった2週間くらいしか着る事が出来ないんですよ。
秋には着ません。
長襦袢、見えそうで見えない所がセクシーなんよね。
この前、長襦袢姿を見た主人「幽霊かと思った」だって
失礼でしょう。足、ちゃんとありますがな。

not subject

しらたま様

志村うしろ!って懐かしい!

格子にも色々ありますよね。
店主もオリジナル文様作ろうかな。
北井格子・・・秀昌縞。
思いつきません。

明日はこれを着て、鴨川をどりに行ってきます!


ぴょん吉様

今みたいな時期、袷は拷問ですよね。
汗をかくと後からの手入れも大変ですし・・・。
TPOももう少しの辛抱です。
頑張りましょう!


姫路の美人母娘さま

男物の紗袷は珍しいですよね。
ここぞとばかりに着倒します。
男の着物は表におしゃれが出てこないですから、こういうところにこだわってしまいます。
とはいえ、ほんとは見てもらいたいのですけどね。
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